(1) 今回の修理車両は、W220 S320になります。
左右独立したマフラーです。
オーナー様の意向によりフロント側第一触媒左右 2個の交換となります。
リア側の第二触媒は、ご予算のご都合などにより施工は致しません。
(2) 施工する前の状態を確認すると、あれ?すでに補修痕があります。これは、以前に触媒修理された証拠です。
しかし、同業者として言わしてもらえれば、この修理では、まだまだです。溶接の技術が未熟ですね・・・
これは、半自動溶接と言われるものです。
弊社では、アルゴン(ティグ)溶接にて補修痕が無いように致します。
後に判りますが・・この修理は、中古車販売業者にて行われたようです。
自動車屋としては、器用にされて いると思いますが・・
弊社のようにマフラー専門工場と比べるとやはり、自動車屋さんです。餅は餅屋に任せて下さい。
(3) リア側第二触媒を上から撮影です。見て判るようにフランジ部よりストレートに触媒につながっています。
これは、フランジ部より触媒内部の目視確認が出来る状態です。 それでは、是非とも確認してみましょう!
(4) フランジ部よりLEDライトにて内部を確認します。
あれ?触媒内部がカラッポで、向こう側のパイプ部が見えています・・
リア側第二触媒は、ケースのみで触媒内部は完全な空洞となっています。
(5) それでは、はじめにこのように型を取ります。
この型を作製していないと、この後、ノーマルマフラーを数箇所切って解体しますが、完全に元通りに戻す事が出来なくなります。
しかし、この型があるのでいくら切ってバラバラにしても、型にあわせて溶接することにより、元の状態に完全に戻す事が可能となります。
(6) 修理するフロント側第一触媒をカットしていきます。
すると、なんと!触媒内部がパイプにてストレート構造にされています・・オーナー様にこの事をお伝えさせて頂きました。
オーナー様よりご購入された中古車販売業者に確認されたところ、あっさりと触媒修理していますとの事・・。
第一、第二触媒ともに触媒が全く無い状態 ですので、「車検に通らない」と伝えたところ「うち へ車検に持って来て頂ければ通りますよ!」・・・って・・・・
それって、根本的な話が全く通用していません。
オーナー様には、非常にお気の毒に思います。皆さまもこのような事例もございますので、お気を付け 下さい!!
(7) さて、それでは、触媒ケース内を綺麗に分解します。
触媒ケース内をストレートパイプで繋いでいるので、そのパイプも取り除かなければなりません。
よって、触媒ケースを合計4箇所切っての大手術となってしまいました・・。
中古車業者のいい加減な修理で、作業が大変困難でしたが・・なんとか綺麗にストレートパイプも取り除けました。
(8) 純正の触媒ケースにメタル触媒を埋め込みます。
しかし、若干メタル触媒の方が全長が長いです。
これでは、純正触媒ケースに収まりません。
弊社のメタル触媒には、触媒本体より外側のケースには、耳(ミミ)がございます。その部分を旋盤にて削り落としてしまいます。
(9) 旋盤加工が終わりました。
右側より旋盤加工前のメタル触媒、真ん中が旋盤加工後の触媒、左側が純正触媒ケースとなります。
純正触媒ケースと、メタル触媒の長さが同じになりました。
(10) 純正の触媒ケースにメタル触媒を埋め込んでみます。
純正のケースは複雑な形をしているので、メタル触媒との間に隙間が出来てしまいます。
このまま、溶接してしまえば、外見上まったく判りませんが、触媒を通らない排気ガスが流れますので、弊社では、このような状態で溶接することはございません。
キャタライザーの右側にある小さな部品を製作して隙間を塞いでしまいます。
本来なら排気のIN側だけを塞いでしまえばいいのですが、リア側も同じように塞いでしまいます。
理由は、排気の乱流を防ぐ為と、強度アップを図る為に行います。見えないところでも拘(こだわ)りをもって作業します!!
(11) 先ほどの小さな部品にて隙間を塞いでいます。
仮付けの状態です。
これからアルゴン(ティグ)溶接にて全周溶接して隙間を完全に塞ぎます。もちろん反対側のOUT側も同じように作業致します。
(12) それでは、メタル触媒を触媒ケースに埋め込むことが出来ましたので、元通りに修復致します。
しかし、今回は4箇所も切断していますので、手間がかかる作業になりました。
(13) 溶接作業で完全に繋いでいきますが、新たな溶接痕を残さず純正品然に仕上げます。参考写真14,15,16
(14)
(15)
(16)
弊社で修理し安心して頂けるように・・・
修理後には外観上にもノーマル部品と全く変わり無い様に修理が出来ます。
しかし、外見上修理痕が無いために、逆にお客様は本当に修理したのか不安になられる
可能性があります。
そこで、弊社ではお客様のマフラーの修理の際にその都度、デジカメにて修理内容を画像として保存しています。 修理後、お客様に確認して頂けるようにDVDに画像を保存しお渡ししています。お客様のマフラーの元々の状態や、修理内容がすべて判りますのでご安心して頂けます。
※DVDに保存しておりますので、日付や時間なども分かり写真の使いまわしではないか?などの
心配もありません。